集合住宅における
「インピーダンス法による重量床衝撃音遮断性能予測計算法」を改訂
解説書および計算シートを設計者向けに配布

有限会社泰成電機工業(代表取締役社長 片桐佑介 本社:長野県駒ヶ根市),万協株式会社(代表取締役社長 清水雅弘 本社:東京都品川区)は,信州大学名誉教授山下恭弘監修のもと株式会社熊谷組(取締役社長 大田弘 本社:東京都新宿区) ,フジモリ産業株式会社(代表取締役社長 山根光 本社:東京都品川区),野原産業株式会社(代表取締役社長 野原数生 本社:東京都新宿区),有限会社音研(代表取締役 石川義治 本社:埼玉県八潮市)と共同で集合住宅における床衝撃音レベル予測計算法を改訂しました。さらに,設計者が実務で使用できるように「インピーダンス法による重量床衝撃音遮断性能予測計算シート」を改訂しました。

【背景】

集合住宅を設計する段階で,音環境,特に床衝撃音遮断性能の検討は必須項目の一つになっています。床衝撃音遮断性能の予測計算方法としてはインピーダンス法を用いた予測計算法が提案されています。この方法は,エクセルなどの表計算ソフトがあれば計算でき,実務に広く利用されています。
2006年2月に「インピーダンス法による床衝撃音レベル予測計算法」の解説書と表計算ソフトで簡単に床衝撃音レベルを予測できる予測計算シートを公開しました。この解説書および予測計算シートは1998年に大脇・山下らによって提案された大型スラブを対象としたインピーダンス法(以下,大脇・山下式)を基に作成されました。
一方で,国際規格であるISO規格との整合を考慮して2000年にJIS A 1418「建物の床衝撃音遮断性能の測定方法」などの関連規格が改正されました。そこで改正されたJISにあわせて実建物の測定データを収集し,予測計算法の見直しを行いました。
このような背景に基づき「インピーダンス法による床衝撃音レベル予測計算法」および予測計算シートを改訂しました。

【概要】

改訂した「インピーダンス法による床衝撃音レベル予測計算法」(以下,大脇・山下式2012)は,シリーズ 建築の音環境入門※No.33~No.41で解説を行っています。改訂した予測計算法は従来の方法に比べ予測精度が向上しています。図1,2のグラフからわかるように63Hz帯域,125Hz帯域ともに大脇・山下式に比べ予測精度が向上しており,+5dB(床衝撃音レベル等級1ランク)以下の範囲に95%程度含まれています。また,従来の予測計算法に比べ,詳細に躯体条件などを入力できるようになったため,スラブ厚さと梁せいの比や,柱の影響,垂れ壁の影響などについても考慮して検討することが可能となりました。



図1 予測値と実測値の差の確率密度分布(63Hz帯域)



図2 予測値と実測値の確率密度分布(125Hz帯域)

※シリーズ 建築の音入門:信州大学名誉教授山下恭弘監修のもと,建築の音環境を判りやすく理解できる小冊子として月1回程度刊行しています。
参考:2008年11月21日プレスリリース「集合住宅に関する音環境の手引書「シリーズ 建築の音環境入門」を発刊!」

改訂した予測計算シートは,業務ソフトのディファクトスタンダードとなっているマイクロソフト社製表計算ソフトウェア「Microsoft Excel」上で動作します※。
誰でも簡単に床衝撃音レベルを予測計算できるようにインターネットのウェブサイトから自由にダウンロードできるようにしました。 この予測計算シートは,予測に必要な基本的な計算条件を入力すると設計性能を満足できるスラブ厚さや床衝撃音レベルを得ることができます。予測計算の結果は,グラフ化され,そのまま報告書に添付して使用できるようにしています。以下に予測計算シートの入力画面と出力画面を示します。

※Microsoft Windows XP上のMicrosoft Excel2000/2003,Windows Vista上のMicrosoft Excel2007およびWindows 7上のMicrosoft Excel2010で動作確認しております。



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【今後の展開】

今後,集合住宅の床衝撃音レベルの予測検討を行う際の重要なツールとして位置づけ,デベロッパーや設計事務所などに対して積極的に提案していく予定です。
さらに,床衝撃音レベルの予測に本計算手法を用いた方から忌憚の無い評価・意見をいただき,より使いやすく精度の高い予測計算法に仕上げていくように今後も継続的に検討していく予定でいます。
なお,床衝撃音の予測計算シートは下記のウェブサイトのどこからも同じ形式でダウンロードできます。

予測計算シートのダウンロード先






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